谷口雅宣著
神を演じる人々 = 日本図書館協会選定図書 = |
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「神の力」を得た人間たちを待ちうける、近未来の驚くべき世界とは?
●谷口雅宣のウェッブ・サイト動植物の遺伝子組み換えや人間の遺伝子強化、体細胞クローン技術、高度生殖医療技術など、いつの間にか「神の役割」を演じ、自らの存在そのものを操作し始めた人間たち。私たちが向かいつつある新しい世界――そこに生きる、近未来の人々の運命は? 科学の発達と人間の精神性とのバランスが崩れた危うい世界の姿を、リアルな筆致と大胆なイマジネーションで描き出す、著者初の短篇小説集。(解説・島薗 進 [東京大学教授]) http://www.MasanobuTaniguchi.com/ に平成14年9月から平成15年2月まで掲載された17篇、待望の単行本化なる!
【目次・主な内容】
○「疑心」――ブタの胃を自らに移植し、健康体なのを誇りに思う医師。しかし自分の意志とは関係なく、その胃が「生きて」いるという妄想に苛まれる…… ○「捕獲」「捕獲2」――ES細胞(胚性幹細胞)を培養して臓器をつくる研究所で起こった、あるハツカネズミの異常な行動と、博士との対決。その結末は……? ○「変色」――ある画家の不可解な死。親の用いた卵子の若返り技術が彼にもたらした影響と、そこから来る芸術上の深刻な危機とは? ○「良心」――生物兵器となりうる変異型のエイズウイルスを作り出してしまった、ある科学者のとった選択。 ○「旅立ち」「旅立ち2」――非配偶者間人工授精(AID)で生まれた、恋人であり兄妹であるカップルの悲劇。彼らはその悲劇をどう乗り越えようとするのか? ○「飛翔」「飛翔2」――遺伝子組み換え技術によって超人的な飛翔力を得たバレリーナの悲劇。 ○「追跡」――携帯電話での「成りすまし」=情報社会の中で繋がっている個人と個人の危うい関係。 ○「慚愧」――遺伝子組み換え作物に支えられた、効率優先の大規模農業に潜む落とし穴とは? ○「亡失」「亡失2」――クローン人間として生まれ、自らのアイデンティティの危機に苦しむ若者を歓迎する新宗教の罠とは? ○「銀化」「銀化2」――遺伝子組み換えされた魚の放流による、地域の混乱。生態系を守る道と、経済的発展を選ぶ道とのはざまで揺れる人々のドラマ。 ○「再生」――オゾン層が破壊され、防護ガラスで守られた都市に住む人々。自然の再生を試みる中国人学者は、ある「気味の悪い生き物」の再生を提案する。彼女の意図は何なのか……? ○「新生」――地球温暖化後の急激な気象変動によって都市部と分断された日本の森林。そこに生きる人々の原始的生活と、世界復興への取り組み。
【著者紹介】
谷口雅宣(たにぐち・まさのぶ)
1951年東京生まれ。青山学院大学法学部公法学科卒。編集者を経て、1979年、米国コロンビア大学修士課程修了(国際関係論)。産経新聞記者を経て1990年、生長の家副総裁就任。著書に『神を演じる前に』、『今こそ自然から学ぼう』(いずれも生長の家発行/日本教文社発売)、『小閑雑感』3巻シリーズ(世界聖典普及協会刊)、翻訳書に『叡知の学校』(日本教文社刊)、著書に『心でつくる世界』、『ちょっと私的に考える』(いずれも生長の家刊)などがある。 |
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▽四六判上製 256頁 ISBN4-531-05234-X 初版発行 2003年11月 日本教文社刊
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