不安な時代の現代病とも言える、強迫神経症・不安神経症。その苦悩者の方々に頻繁にみられる、日常生活の自由を奪ってしまう五つの恐怖症――外出恐怖症、乗車恐怖症、閉所恐怖症、高所恐怖症、尖端恐怖症。
自らも深刻な体験者であった心理療法家の著者が、重度の恐怖に苦しんでいる神経症者のために、無理のない克服法を懇切丁寧に紹介。
「こだわる心」から「流れる心」への転換をはかり、元気に社会生活に復帰できるように、心に響く援助と励ましの言葉を贈ります。
- 【目次より】
第1章 外出恐怖
1 なぜ外出が怖いのか
【1】―心の流れはどうなっている?
恐怖にとらわれていないか
【2】―常にプラス思考を働かせているか
客観性と人への思いやりを発揮せよ
【3】―孤独感の虜になっていないか
あなたは、本当に孤独なのか
外出先には「幸福」が待っている
【4】―症状とどう関わるか
うつ状態の場合の外出
不安神経症の場合の外出
強迫神経症の場合の外出
2 絶対に外出を敢行すべきか
【1】―がんばりすぎての外出
「無茶をしない余裕のがんばり」でよい
【2】―機が熟しての外出とは
自分を甘やかさないこと
【3】―家族との外出
家族の温情を素直に受けよ
【4】―一人での外出
遠出でなくてもよい
外出の練習効果
3 外出先で不安や恐怖を感じた時
【1】―家に逃げ帰るのは考えものだ
前向きな心でいればよい
【2】―プラスの思考と感情で心の安定を得る
最善を尽くした心の状態に優るものなし
【3】―用事が済むまで帰らない
今なりの諦めの心境になるしかない
【4】―いかなる場合でも慌てる必要はない
慌てる必要はないが、急ぐのはかまわない
「医者だ! 薬だ!」と慌てない
第2章 乗車恐怖
1 予期不安に駆られていないか
【1】―心の健康度
こんなプラス思考はどうだろう
【2】―身体の健康度
心配が過ぎるは愚かなり
【3】―心と身体の健康度
身体の調子に合わせればよい
【4】―「流れる心」を活用せよ
友人(知人)を訪ねることの効用
景色(風景)に視線を向けよ
何にも頼らない
2 乗って治す、乗らないで治す
【1】―臨機応変でよい
必要があれば乗るしかない
乗らないで済めば、それもよし
【2】―希望や楽しみを探せるか
意志さえあれば「流れる心」の力は喚起される
【3】―人生に光が射せば、乗車恐怖などはすぐに消滅する
乗り物にばかり心を奪われないで、仕事、勉学、趣味などに
精一杯の情熱を傾けよ
恋人について
第3章 閉所恐怖
1 「開く心」と「閉じる心」
【1】―「開く心」
積極性を持つ
【2】―「閉じる心
消極性とは
【3】―閉所を目の敵にするな
気(苦)になっても入って(乗って)みる
【4】―自由な心
夢見る心
楽観的な心
2 逃げ腰の心は恐れを招く
【1】―エレベーター
マイナスの自己暗示
【2】―バス・タクシー
乗るも乗らぬも、それはあなたの自由なり
【3】―急行電車(快速電車)
宇宙の果てに運ばれるわけでなし
【4】―飛行機
心が沈んでいるから怖いのだ
第4章 高所恐怖
1 高所は怖くてかまわない
【1】―高所への慣れ方
前向きな心の状態が必要
【2】―高所にとらわれすぎない
気にはなっても、その観念に長居をしない
【3】―健常者の精神的エネルギーに従いて(あやかって)いくべし
逃げる心、逃げない心、仕方なしの心、積極的な心……
それぞれに「関わり方」があるものだ
【4】―スポーツ(格闘技を含む)
水泳の高飛び込み(飛び板飛び込み)
スキーのジャンプ
プロレスラー
2 前向きな「流れる心」の流れに任せるべし
【1】―自然に任せればよい
話に花を咲かせ、健常者のペースに乗ってみよ
【2】―高所が苦手でも「人間失格」にはならない
愚痴をこぼせば、気は楽になるか
【3】―「気分」への関わり方
プラス(良い)気分とマイナス(悪い)気分
第5章 尖端恐怖
1 症状的な恐怖、健常者的な恐怖
【1】―症状的な感覚とその恐怖
被害者的・加害者的な強迫観念による恐怖
【2】―健常的な感覚での恐怖
症状的な「とらわれ」のない対応能力
【3】―「弱い心」と「強い心」、「とがった心」と「まるい心」
2 尖端恐怖のいろいろな克服法
【1】―急いで「恐怖突破」を試みる必要はない
「高みの見物」も、時には良しとせよ
【2】―「とがった物」は、便利なもの、重宝なもの
健全性に富んだ使い方(関わり方)をすればよい
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