呉善花著
日本語の心
ことばの原風景をたずねて
はるか昔、日本人はことばに何を託そうとしたのか

日本文化に限りない愛情と深い関心をいだき続ける著者が読み解く、日本人が忘れてしまった日本語の魅力!

日本語の成り立ちには、豊饒で多彩な日本の自然が密接に関わり、高い精神性や繊細さを生んでいることに、深い驚きと興味を感じた著者が読み解く、たおやかな日本語論。
  言霊からみた言葉のいのち、古事記や万葉集、古典文学等に詠われた日本語の響き、折口信夫や柳田国男の民俗学から照らし出された言葉の意味合い等々。
  日本語の世界に分け入るほどに、日本人の宗教観、自然観が太古の記憶として生き続けている、あり続けていることに深い感銘を受けた著者の言
葉は、日本語の心をあらためて呼び覚ます。


目次

第一章 自然と神々への思いを乗せた言葉
1 春はタマシイが膨らむ季節 
2 箸は食物から人へいのちを渡す 
3 花の名の味わい 
4「はつか」という美しい日本語 
5 春夏秋冬 
6 ワラワとオキナ 
7 なぜ天も海も「アマ」と呼ぶのか 
8 言葉を話す自然 
9 木に鈴を掛けて神仏を招く 
10 「統治すること」と「支配すること」の違い  
第二章 心の歴史を保存する言葉
1 「はじめ」という言葉のイメージ 
2 「君に恋する」とはどんな心か 
3 単なる事物とは違う「もの」とは何か 
4 かけがえのない「ことの世界」 
5 「あなた」という存在 
6 語尾に気持ちを込める言葉づかい 
7 「あたらしい」と「にい」とはどう違うのか 
8 「かなしい」という心の動き 
9 いとしい 
10 やさしい 
11 美の言葉と美意識 
12 愛と憐れみ 
第三章 文化の深層に触れる言葉
1 なぜ「お客さまは神さまです」なのか   
2 「すむ」という言葉の深さ
3 もてなしの文化 
4 「食の分かち合い」を貰う喜び 
5 現実がなぜ「うつ」なのか 
6 ワタクシと女たちの私財 
7 包むことと慎むこと 
8 「〜は」「〜が」は主語ではない? 
9 日本語と韓国語のよく似ているところ 
10 意味不明の地名が物語るもの 
11 旅とは土地の食物をいただくことだった 
12 日本人の甘えと韓国人の甘え
第四章 生命のエネルギーを湛えた言葉
1 「気」は「精神」や「心」とどう違うのか 
2 「結び」と「むすひ」の働き
3 湯と世と「君が代」の関係  
4 コトワザの楽しみ
5 赤ちゃん言葉は世界共通語か 
6 ハハなる自然語とチチなる社会語 
7 「色」が「匂う」のはなぜか 
8 日本はなぜ「和国」といったのか 
9 諺の呪力 
10 言霊の幸う国  
11 国生み神話とアワの世界 
おわりに


【著者紹介】 呉善花(O Son Fa)
1956年韓国済州島に生まれる。韓国女子軍隊経験を持つ。1983年来日。大東文化大学(英語学専攻)の留学生となる。その後、東京外国語大学大学院修士課程、(北米地域研究)を修了。現在、評論家。拓殖大学国際開発学部教授。
著書に、『日本の瀬戸際』、『日本オリジナルへの旅』(日本教文社)『女帝論』(PHP研究所)『攘夷の韓国 開国の日本』(文芸春秋、第五回山本七平賞受賞)のほか、『私はいかにして「日本信徒」となったか』『日本が嫌いな日本人へ』(PHP文庫)など多数。
▽四六判・上製
292頁

ISBN4-531-06404-6
初版発行 2006年11月


日本教文社刊

 

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