アーヴィン・ラズロ著 吉田三知世訳
カオス・ポイント
――持続可能な世界のための選択
○人口爆発、経済格差、民族紛争、地球温暖化……現代文明がこのまま進んでいくなら、とんでもない危機が早晩やって来ることは誰もが薄々感じていることでしょう。
 その危機を回避できるか否かの岐路(カオス・ポイント)は2012年、そして、現在は揺らぎに満ちた「決断期」なのだ、と著者は言います。  
 この「決断期」においては、小さな変動が大きな影響を及ぼすため、個人の小さな選択が、世界を正しい方向(平和で持続可能な文明)に向かわせるか否かの決定的な要因となります。
  今こそわたしたちは、意識的な選択をしなければならないのです。本書は、世界がカオス・ポイントを迎えるに至った経緯を解説するとともに、正しい方向への転換を起こすには、わたしたちの意識の進化が不可欠だとし、その具体的な方法を紹介しています。 
 人類が存続できるかどうかは、もはやSFのテーマではないのです。

【目次より】

序 文(アーサー・C・クラーク) 
はじめに 
プロローグ――未来に続く二筋の道 
崩壊のシナリオ/前進のシナリオ
  

第1部 転換の潮流

第1章 新しい世界についての新しい考え方 
第2章 新しい世界の誕生

  転換の力学
  社会におけるカオス力学 
第3章 カオスを駆動するもの 
  経済的な持続不可能性
  過剰消費の誤謬
  社会的な持続不可能性
  生態系的な持続不可能性
  自然環境の悪化を示す証拠
第4章 良い方向への転換をもたらすパラメータ
  歴史に見る文明の転換
  次なる転換への挑戦
第5章 新しい文明の姿 
  西暦2025年の姿

第2部 新しい文明の建設

第6章 出現しつつある基盤 
  新しい文化に見るホーリズム
  近代的人間
  伝統的人間
  文化的創造性をもつ人々
  新しい科学に見るホーリズム
第7章 今、あなたにできること 
  時代遅れの考え方を捨てる
  時代遅れの信念と誤った考え方のリスト
  特に危険な考え方
  新しい倫理を採用する
  あなたの世界を思い描き、その実現に向けて行動せよ
  あなたの意識を進化させよ
  進化した意識を示す10の指標
第8章 展 望 
  人類はすでにカオス・ポイントに来てしまったのだろうか?
  まだ遅くはない

追記 科学的背景 
  科学の諸分野に現れつつあるホーリズム
  システムという観点から表現したカオス・ポイント
補遺A わたしがブダペストクラブを創設した経緯――自伝的解説
補遺B ブダペストクラブについて――声明文 
  世界賢人会議の声明(ブダペスト宣言/ハノーファー宣言/東京宣言) 


【著者紹介】 アーヴィン・ラズロ(Ervin Laszlo)=1932年、ハンガリー、ブダペスト生まれ。ピアニスト、哲学者、未来学者。ニューヨーク州立大学教授、ベルリン国際平和大学理事・教授、ユネスコ顧問等を歴任。世界賢人会議「ブダペストクラブ」を主宰。ミクロの世界から、人間社会、宇宙までを貫く原理とその構造を探究する「システム哲学」の研究と発展に努める。著書は、『システム哲学入門』(紀伊国屋書店)、『人類の目標』(ダイヤモンド社)、『マクロシフト』(文春ネスコ)、、『創造する真空』 『叡知の海・宇宙』(日本教文社)、『マクロシフト』(文春ネスコ)等、60冊以上の著作があり、論文・寄稿記事も多い。イタリア、トスカーナ在住。

【訳者紹介】
吉田三知世(よしだ・みちよ)=京都市生まれ。京都大学理学部物理系卒業。技術系企業での勤務を経て、現在は英日・日英双方向の翻訳業に従事。訳書に、アーヴィン・ラズロ『叡知の海・宇宙』(日本教文社)、デイヴィッド・ボダニス『E=mc2』(早川書房、共訳)、ケン・オールダー『万物の尺度を求めて』(早川書房)、ピーター・マーティン『パース わたしの愛した犬』(バベル・プレス、監訳)などがある。

▽四六判・並製
260頁

ISBN4-531-08158-7
初版発行 2006年10月


日本教文社刊


 

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