ジョン・ティルストン著 小川昭子訳
わたしが肉食をやめた理由

「ねえママ、これは牛さんのどこのお肉?」

食卓で子供の発するそんな疑問からベジタリアンになった妻を見て、バーベキュー文化の中で育った著者もやがて同じ道を選び取るようになります。ベジタリアンになった著者がまず気づいたのは、非ベジタリアンの人びとから向けられる好奇心、そして怒りの感情でした。肉食はどうやら感情と密接に結びついているらしいのです。
  そんな彼らを前に、ディナーパーティーの席で、自分が菜食主義になった理由をうまく説明したい。そうした動機からフリーランスの経済ジャーナリストである著者は、ベジタリアンであることの意義を探求する道へと乗り出します。
  自らの「転向」のプロセスから、環境問題、食糧問題、健康への影響、動物を殺すことにまつわる倫理的問題まで、声高な正義感からではなく、体験と客観的な数字に基づいて平易に綴られた異色のエッセイ。
 お肉大好きな人も、ぜひご一読を。

【目次より】
第1章 わたしのたどった道

第2章 環境に対する動物の影響
悪い予言は当たった試しがない/父母や祖父母の時代にはなかった問題/昔ながらの農場は環境にやさしい/混合農業は衰退している/工場式農場がのさばる/動物が大量の穀物を消費している/水不足

第3章 漁業に望みを託す?
漁民は政治活動に長けている

第4章 この先、環境はどうなるのか
いずれにせよ、食べなくてはならない/二通りの未来のシナリオ

第5章 菜食は健康に良いのか?
食生活の激変は過去にもあった/西洋人は太りすぎている/何を食べる必要があるのか?/どれだけ必要か?/菜食にひそむ問題/肉を少々/ラグビー食/食品ピラミッド/汚染と安全性/80:20の実践ルール

第6章 動物の苦痛と倫理的な生き方
ブルターニュの“ステップフォードな”暮らし/動物に権利はあるか?

第7章 研究が古い通念をくつがえす
倫理論争/教皇が語る/クッツェーが応える/殺戮の驚異的な規模/節操

第8章 非主流派

第9章 旅は終わるか?
肉なし二菜/外食/独りぼっちでやっていく/居心地のいい場所


【著者紹介】 ジョン・ティルストン(John Tilston)
フリーランスの金融ジャーナリスト。「ダウ・ジョーンズ・ニューズワイア」「サンデー・タイムズ」「オーストラリアン・フィナンシャル・レヴュー」などに寄稿している。オーストラリア在住。

【訳者紹介】 小川昭子
国際基督教大学卒業。訳書に、コールドウェル『パウロ、神のライオン』(三陸書房、共訳)、コートライト『ドラッグは世界をいかに変えたか』(春秋社)、クラットン=ブロック『猫の博物館』(東洋書林)、チャーリアン『Modula-2入門』(アスキー)、トーレッキー『LISPやさしい記号計算入門』(啓学出版)、『平凡な事柄の非凡な治癒力』(日本教文社)など。

原題:HOW TO EXPLAIN WHY YOU'RE
     VEGETARIAN TO YOUR DINNER GUESTS

▽四六判・並製
172頁

ISBN978-4-531-01551-1
初版発行 2007年3月


日本教文社刊

 

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